イラストレーター群青亜鉛が発信する、104歳おばあちゃん介護のイラストエッセイ。介護の工夫と次の一歩。

どちらをとるのか(脚の屈曲拘縮への対応3)

4月 12 2012 | 人の身体と動作

(2014年10月2日、文末リンク等加筆致しました。)
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屈曲拘縮(くっきょくこうしゅく)
flexion contracture

関節が屈曲した形で固定されてしまい、動かすことのできなくなった状態をいいます。脳卒中による四肢麻痺や、寝たきり状態での放置によってしばしば生じます。(Web辞典 介護110番より)

シリーズ:脚の屈曲拘縮への対応 その3です。ポジショニングにも関係している内容です。ポジショニングへの関連記事は末尾を参照ください。

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拘縮がきつくなる101歳祖母

101歳祖母は、股関節と膝関節の屈曲拘縮がきつくなってきています。特養に入所して10年目。脳梗塞による後遺症で右片麻痺、ティルト&リクライニング式車いす使用して4年目。介護リフトを使っての移乗介助で、ポータブルトイレ使用。食事はミキサー食。家族が行った時のみ自力で食べさせます。半年に一度外部のPTさんに診ていただいています。

先日じっくり越後の理学療法士の大渕哲也さん(この後PTさんと表記)にみてもらったところ、祖母の脊柱と太ももとの角度を90度(椅子に座ったような状態)にすると、膝から下は真っ直ぐには降りず、勿論伸ばすことも難しく、お尻の方にかかとを引いてしまう様な状態でした。(イラスト参照)

股関節と膝関節が気になる

その拘縮が以前よりきつくなっていてとても気になる、前はこれほどでなかったのだが、と特養のリハビリリーダーさんの声が聞かれました。同じ様に介護中心者の母も、前のままでもよかったのではないかと言う思いが言葉の端々に出てきています。何よりも一番の問題は、私自身が理解出来ていないため、職員さんや、中心介護者の母に説明が出来ないということです。

脚元の新しい車椅子調整の状態(昨日のイラストの向って左側、ベルトをフットレスト(2016年では、呼び名はフットサポートに統一。)の部分に二本渡しプラス三角クッション。ひざ下とかかとを自由に引けるようにしたもの)が本当に今のばあちゃんにとっていいのか?そしてその理由がきちんと知りたく、再度電話で相談をさせてもらったというわけです。以下、電話でPT大渕さんに相談した時のやり取りです。

高齢の方の、脚を引っ張り出すのは至難の技

PTさん:脚を少なくとも引っ張り出すという力は加えないで、その分上半身、脊柱(せきちゅう)、体幹をいい形で保っておく方が良く、おばあさまにとっては有益だと思います。

PTさん:上肢全体がいい格好で座っていられるほうが、多少膝が曲がってしまうよりもメリットが大きいのでは。

PTさん:膝を引っ張り出しながら上半身も崩れないように保つのは、わかりにくいかもしれませんが、ほんとうに至難の技なんですよ。本人の苦痛が大きくなる。おばあさまがお若くて、これから身体機能の回復が望めるのであれば対応は違うのですが。

PTさん:今ここで身体にあまり負担をかけるより、できるだけ安楽に、かつ呼吸などの事を考えて、膝が多少曲がってしまうのは止むを得ないのではないか、とわたしは考えます。

股関節が開かなくなると何が困るの?

PTさん:但し考えないといけないのは、多少は仕方ないと思うがおむつ交換が大変になるとご本人が大変なので、そんなふうにはならないようにすることが必要なんです。

PTさん:でも、施設で日々の様子を観察してもらいつつ、そんな風(脚を無理に引っ張り出さず、上半身をいい形で保って行く)にしていて、股関節や膝関節の屈曲拘縮がめきめき強くなってきたときはどうするのか?

PTさん:車椅子の上で膝を伸ばそうと、足を引っ張り出すと姿勢が崩れる、では後はどうしたらいいのか??
伸ばすのはベッドの上でする他はないんですよね〜。(続く)

↓追記。膝関節屈曲拘縮は何が困るの?

↓追記2015/04/07こちらは群青亜鉛の解釈。祖母をずっと看ていてこんな事が考えられます。

車イスで、安楽な姿勢になってもらうのが難しくなる。
体のねじれ、変形が強くなってくる。
施設内だと、職員さんの知識や理解不足により、安楽に座らせる事が出来ない。寝てもらう事が出来ない。
結果、ずれ座りにしてしまうことが多いため、褥瘡のリスクが高まる。
うまく座らせられず、ずれ座り等よくない姿勢により、飲み込みが上手く行かず、食事が満足に取れなくなる。

理学療法的視点、介護福祉用具に対する知識、拘縮により、呼吸が浅くなったり等。幅広い知識が必要となる。
ポータブルトイレに安全に座れなくなる。(膝下が床に着かない。座面下に回りこむ)

すべての介助に、高度な介護術が必要となる。→介助に時間がかかる。→介助者にストレスがかかる。→本人も、ストレスを抱える。

車イス座面下に足が回り込むぐらいだと、合う車イスはない。工夫が必要となる。
正しい知識を持った上での魔改造。職員さん間の伝達をきっちりする必要が。
しかし、福祉用具の安全保証の対象からは外れるため、事故の時は困ります。自己責任。

ということで、とにかく勉強して最新知識を取り入れ、それを、共有することでしょうか〜。今後、屈曲拘縮の方は、増々増えると想像出来ます。

↑ こちらは群青亜鉛の解釈です。2015/04/07

シリーズ:脚の屈曲拘縮への対応 その3でした。

※タグづけ(分類)は、「車椅子シーティング」とするよりも、「車椅子調整」とする方が言葉として適切かと思い、掲載しています。


群青*介護ブログ関連記事です。
↓ばあこの、脚の屈曲拘縮への対応 ↓ 
※すべて祖母の場合の対応を記しています。右片麻痺。ティルト&リクライニング車椅子使用

対応1(伸びない膝と骨盤と、背骨の関係がよくわからない)
対応2(車いすの足元を考える)
対応3(どちらをとるのか)
対応4(クッション挟めばいいってもんじゃないっしょ)
対応5(ベッドでの体位交換について)
対応6(車椅子調整後の指示書は、壁に貼る)
対応7(曲がる膝を無理に伸ばすジジババ上半身は後ろ倒れる)
対応8(車椅子の足元の調整)
対応9(楽に座れる人・膝が曲ってしまう人)
対応10(屈曲拘縮すすむぢゃん、と思っても。)
対応11(曲がってる脚をどうやって、安定する様に下ろすのか)
対応12(チープに見えても、必要なこと)


↓関連記事 のタグはこちら。
2013年からは、ポジショニングも同時に行い、かなり緩んでいます。ポジショニングの効果もに驚きです。
ばあこ102歳からはじめたポジショニング 介護 実践とその効果
baa.gunjoaen.com/blog/tag/寝る姿勢

↓こちらは介護ライブラリでの連載「ぐんじょうあえんの自宅で介護お助けヒント集」
ポジショニング関連
vol.15寝る姿勢を整える編(安楽に保てた時の驚き)
vol.18寝る姿勢を整える編2
vol.19寝る姿勢を整える編3



【群青亜鉛:ぐんじょうあえん:イラストレーター

◆プロフィール◆
骨格大好きイラストレーター。ばあちゃんへの”いっちょかみ介護”実践する。高齢者介護の工夫やバリアフリーの住環境に精通した、くすっと笑えるイラスト&エッセイを得意としています。
◆介護関連著書◆
介護のお助けマンガエッセイ
介護用具・日用品カスタマイズ本(共著)
◆ウェブ連載◆
こちらウェブマガジン ”介護ライブラリ”にて「自宅で介護お助けヒント集」(※以上プロフィール2018年4月現在)

明るくユーモラスに大真面目に、何気ない日常の一コマを大切にした、コミュニケーションの現状と次の一歩を表現。皆さんの想像力をこそばします。


介護は幅広い知識があったほうが楽です。在宅介護のご家族は、介護職や看護師さん、セラピストの方にもどんどん質問して知識を還元してもらって下さいませ。このブログ記事もとっかかりにして頂けたらと願います。

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