イラストレーター群青亜鉛が発信する、104歳おばあちゃん介護のイラストエッセイ。介護の工夫と次の一歩。

ポジショニングやシーティングを大学の介護福祉士 養成教育に取り入れるということ

3月 25 2015 | 人の身体と動作

背骨の反乱イメージこんにちは。介護イラストレーターの群青亜鉛(ぐんじょうあえん)です。本日も長文です。2500文字。

1月に、静岡の特別養護老人ホームからお声がかかり、ポジショニング(※)の研修の最後の締めくくりとして講演をさせていただいたことは既に記しました(→こちら)。内容は、家族視点での100歳からはじめた祖母へのポジショニングとシーティングの実践です。

授業の教科にポジショニングを導入する大学


その関係で静岡県立大学短期大学部の講師の方々とお知り合いになりました。驚くべきことにこの大学の社会福祉学科・介護福祉専攻では、2009年より授業でポジショニングを取り入れ既に5年になるそうです。

ネットで探すと、諸先生方の研究論文が公開されていることを知り、読ませて頂きました。
大学での授業内容や、関係施設での事例検討も記されています。この数年間の取り組みと、振り返り、次に向けての課題等が端的な言葉で綴られており、どれもとてもよくわかる内容でした。

論文を拝読し心強く感じました。私は祖母への介護の経験を、次の世代の方々にプラスになるようにまとめようと思っていたところで、一言一句全てが学びになります。家族介護者だけでなく、例えば寝る姿勢の大切さや、日常姿勢の大切さをどう職場のスタッフさんに伝えていくかで悩んでおられる専門職の方にも、勇気をもらえる深い内容ではないでしょうか。(文末に論文アドレス掲載)

ポジショニングとシーティングは同時進行で

私がポジショニングの存在を知ったのは2年前の2013年です。その後はとにかく祖母に試し、試行錯誤し、特養の職員さんそして介護中心者の母と共に走って来ました。

最初は車イスのシーティングにばかり目が行っていましたが、それだけでは体の拘縮(読み:こうしゅく ※)を止められない事を感じました。そして知ったポジショニング。体が緩んで行く効果には目を見張るものがありました。

理学療法士さんが講師のポジショニング有料セミナーに参加しましたらどれも満員です。この一年は受講生が介護職、セラビストさんだけでなく、看護師さんの参加が半数以上だったりと関心の高さが伺えます。祖母施設では家族からの提案を嫌がることなく受け入れて下さり、職員さんと協働〜おっちらです。けれども現場ではそんなに浸透している様には感じられなかったのが正直なところ。(失礼!)

このギャップは何かなあと感じたわけです。

ポジショニングの現場での浸透性や、知られ度合いは?

2015年の3月現在、私の周りの介護関連の専門職の方々は、ポジショニングを把握し理解している方が多いと感じています。実行委員として関わっている西宮福祉用具体験会では、理学療法士の田中義行さんに来て頂き勉強会を行っていることもあるでしょう〜。専門職メンバーはポジショニングを利用者の方に行い体が緩む事を実感している様子。

けれど、日本での全体的な(一般的な?)浸透度はどんなものなのでしょうか? 知人の理学療法士さんに質問をしてみました。

◆シーティング/ポジショニングの重要性は、現場で気付かれ実践が進んできているが「エビデンス化(「科学的根拠」「証拠」があるとされること)」はこれからの大きな課題。まだ現場従事者が自分なりに考え、実践し、専門職同士で検討し合うという段階の様に感じている。

◆だが確かに大きな流れにはなってきており、例えば日本褥瘡学会さんなどは その流れの先導役を担っている。

と知人理学療法士さんより返信をもらいました。あくまでも、一見解としてです。

数多くの方々にも解る様に伝える必要性


現場での気づきを、どうにかして標準化、誰にでもわかるような形にするべく、試行錯誤の真っ只中のような印象を受けました。今が激動期なのですねきっと。

私も祖母への介護経験を通して姿勢の大切さをお伝えし続けたいと考えています。いっちょかみな私ですが、絵にして人に伝えられるのが強みで、一点で最低千文字の情報を伝えられると言われているイラストです。けれども、絵だけではすべて伝えられる訳もなく、まだまだ弱いよなあと感じています。

言語化もして わかりやすく説明出来る様に学習を積み重ねて行きたいと思っています。(こうやって書くと格好いいのですが、現実はあらららら〜)

【ポジショニング】とは(日本褥瘡学会用語集より)
positioning

 運動機能障害を有する者に,クッションなどを活用して身体各部の相対的な位置関係を設定し,目的に適した姿勢(体位)を安全で快適に保持することをいう。

【関節拘縮】とは
articular contracture

 関節構成体軟部組織の損傷後の瘢痕癒着や不動による廃用性変化の1つで,関節包,靱帯などを含む軟部組織が短縮し,関節可動域に制限がある状態である。 長期間の固定などにより,筋や皮膚などに原因がある場合は短縮(tightness)とよび,伸張運動により改善する。 関節包内の骨・軟骨に原因があり,関節機能がない場合は強直(ankylosis)とよび区別され,伸張運動の効果は認められない。

ポジショニングに関する研究論文


以下、先生方のポジショングに関する論文5篇です。ご覧になってみて下さい。リンク切れや、閲覧許可がないので入れない 等もあるかもしれませんのでその点はご了承下さい。日本の教育現場も含めて、今後どうなっていくのがが楽しみです。

論文を執筆された先生方のプロフィール

木林身江子先生 静岡県立大学短期大学部 介護福祉学科 介護福祉専攻 講師
天野ゆかり先生 静岡県立大学短期大学部 介護福祉学科 介護福祉専攻 助教
秋山みゆき先生 静岡県立大学短期大学部 介護福祉学科 介護福祉専攻 非常勤講師
 
スーパーバイザーとして伊藤亮子先生(フェルデンクライス・プラクティショナー/理学療法士)

《研究論文》

◆ポジショニングによる動きの支援の効果
– 特別養護老人ホームにおける事例研究 –
(2009年度)こちら
木林 身江子 ・ 秋山 みゆき

◆ 介護福祉教育における姿勢ケアシステムに関する研究(2010年度)こちら
木林身江子 ・ 天野ゆかり

◆高齢者福祉施設におけるポジショニング(2011年度)こちら
木林身江子 ・ 天野ゆかり 

◆介護福祉施設におけるポジショニング支援モデルの分析(2012年度)こちら
木林身江子 ・ 天野ゆかり

◆介護福祉士養成教育における「ポジショニング」導入の試み(2013年度)こちら
天野ゆかり ・ 木林身江子

※ 以上の研究論文は、静岡県立大学・短期大学部 研究紀要よりリンクをさせて頂きました。



gunjoaen



【群青亜鉛:ぐんじょうあえん:イラストレーター

◆プロフィール◆
介護の工夫イラスト&エッセイを得意とする。享年104歳ばあちゃんへの”いっちょかみ介護”を22年間実践。おもろくも辛口も含む切り口は、家族介護者だけでなく介護職や医療関係者からも秘かに支持されている、オホホ。骨格大好き。

◆介護関連著書◆
介護のお助けマンガエッセイ
介護用具・日用品カスタマイズ本(共著)
◆ウェブ連載◆
こちらウェブマガジン ”介護ライブラリ”にて「自宅で介護お助けヒント集」
“介護ライブラリ” 〜介護の悩みを減らしたい〜


介護は幅広い知識があったほうが楽です。在宅介護のご家族は、介護職や看護師さん、セラピストの方にもどんどん質問して知識を還元してもらって下さいませ。このブログ記事もとっかかりにして頂けたらと願います。

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