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その2

「Tooth Teeth Teeth」番外編

.'00 6/9

コリコリおじさん。
 

これは長いです。読みたい方のみ、どうぞ。

つい先日のこと。
友人と2人で、演劇の稽古をすることになった。無駄 な出費は押さえたいため、屋外でやることにした。 しかし待ち合わせたのは夜。

物騒なので、夜間は人が少なくなる近所の大公園はやめ、住宅街の中にある小さい公園を選んだ。
時間は夜の7時。女性の2人連れはてくりてくり歩く。

公演のそばまで行くと、小学校2,3年の男の子が1人、滑り台に向かってキャッチボールをしていた。滑り台のまわりは木で遊び場を組んであ る。彼はイレギュラーに跳ね返るボールが面白いのか、こんな時間だというのに滑り台相手のキャッチボールを繰り返していた。

周囲を見渡してみると、ベンチは全部ふさがっている。
私らは迷った末、どこからも目立つ、一番街灯の照った丸太の椅子に座った。その少年の姿を目の端っこに止めながら、私らはボソボソと話はじめた。

「ぎええええ〜!!なんじゃ、こんじゃ、はんじゃ、うわぁぁぁ〜!!」

『???!!!』

見るとおっさんが一人、さっきの少年に向かって怒鳴りまくっていた。
中肉中背。顔はよくわからん。
野球について、少年にアドバイスしているのか、
一見【巨人の星】の星一徹と星飛馬のよう。
『親子かなあ?』
それにしては、2人の距離は離れすぎている。
おっさんはベンチから立ち上がった。

べっベルトの前がはずれている。ズボンは下にずり落ちている。(汗)
一瞬露出狂かと思ったがそうでもないらしい。
「なんやろね(苦笑)」
一抹の不安を笑い飛ばして私たちはまた話しはじめた。

30分は経っただろうか?
相変わらずおっさんは小学生の飛馬に罵声をあびせていた。
少年の直ぐそばまで近付き、熱くアドバイスをしているが、星飛馬は無言である。
飛馬は投げる。飛馬は取る。飛馬は投げる。飛馬は取る。
ちっこい飛馬は熱心な野球少年だ。
ボールはノーバウンドで取れたり、取り損ねたり。公園の外まで走っていったり。
そのたびにヨタモノ星一徹からは罵声が飛ぶ。

「パシッ」
一瞬なにかを叩く音がした。

恐い。自分達に何かが降りかかるのは恐い。見て確認するのも恐い。

ーこの音って、人を叩いた時にする音ちゃうん?ー
頭の端っこではそう思ったがこちらはこちらで忙しい。
微かに遠くで感じただけなので、いちいち行動には移さない。
会話は続く。 少年の方に視線は向けない。

そうこうしているうちに時間は経つ。

近くに人の気配がした。
視線を振ると、
絶対安全な距離を保っていたはずのおっさんが
私達の前方5メートル先にいた。
やはり親子ではなかったのだ。
いつのまにか少年はいなくなっていた。

おっさんは歩き出す。一人でぶつぶつつぶやきながら。
遠巻きにしてではあるが、ヤバそうだ。
興味はあきらかにこちらを向いている。
私ら2人は固まった。
逃げる隙はない。

おっさんはある一瞬だけもとのベンチに戻るそぶりを見せた。
「よし!脱出するには今だ!」
しかし私らは呼吸を読み損なった。動けなかった。
彼は再びこちらをめざす。
ほんでもって彼はてくりてくりと
何もなかったかのように、
ごくごく自然に私の隣に座った。

『ぁぁぁー!ぎょえええええー!』  気色悪いぃぃぃぃ〜!(ごめんなさい、、、汗)

声がする。
「あの少年はお母さんと2人で住んでいて、いつもここにくるんや、
なあ、あんたはどう思う?」おっさんはしゃべりはじめる。
脈絡もなさそうな、ウソかほんまかわからん、 星飛馬の話である。
どう思うも何も、そんなこたぁどうでもいいのだ。

「さあ、、私らは最初からおりませんし、、、、」
「、、、ほうか、、、」

こいつぁただのおっさんだ。
よたもん、飲んべえ、大丈夫だ。危害は加えないだろう。
だがじぇったいに(絶対に)違うと思わせるところが一つあった。

歯ぎしりだった。

コォォォリコリッコリ、コォォォリコリッコリコォォォリコリッコリコォォォリコリッコリ、キリキリキリィィィィィイイイ、、、
キィキィキキキィイイイイ、、、、


『きょわぃぃぃ・・・(こっ、こわぃぃぃぃ、、、)』

話の合間の効果音にしては絶妙だ。強烈過ぎる。
一言話すたんびにコリコリおっしゃる。公園中に、なぜか響く。
私は眠っている人間の歯ぎしりは知っている。
だが、起きている人間の歯ぎしりを耳にするのは、
生まれてこの方ハジメテだ。

ぐるっと公園の周りには、人がいた。
しかしこの距離はどんなもんだい?
近すぎず、遠すぎず、知らんぷりが出来る距離。
何かあっても、みんな恐くて逃げる距離。

ぜんぜん安全とちゃうやんかー。

あああ、きっかけ、きっかけ。
ったったいみんぐ、タイミング、、。
どないかせんと、、、、。
おっさんの言葉は支離滅裂、。
危害加えられたらどうすんねん、、、、。

夜は静かだ。会話は進む。
向かって右からおっさん、私、友人である。
一見平和な小津安次郎の世界。
なんだか悟りきった大人のような感じだ。
人生について語り合う、、、、あう、あうあうあうあぅぅぅぅ。

目はあわさず、前にむかって相づちを打つ。
目を合わしたいのは、おっさんだけだ。

一瞬の間。

ぐんじょー「○○(友人の名)っ(^^)今何時?」

友はあたふたと、ごそごそと鞄の中から携帯をとりだした。

友「7時40分。」
ぐんじょー
「ああ、そう。じゃ、もうそろそろ行かな、間にあわへんな」
ぐんじょー「それじゃ、すみませんけど、待ち合わせしてますんで、、、」
      あわてて荷物をまとめる。

おっさん「あ、そうかしゃあなあいなあ」

ぐんじょー「ほな行こか。それじゃ、失礼します。」

ぺこっとお辞儀をするぐんじょー。
友人と二人して、
そそくさと立ち去った。立ち去った。立ち去ったぁぁぁぁぁ ぐおおおおおおぉぉぉっぉぉ、、、。

公園を出たとたん、私達は声にならないうめき声をあげた。
声は裏返っていた。


2人とも心臓はバクバクである。
群青「あ、あのなあ、なんぼくやしい事があっても、普通歯ぎしりって、せえへんよなあ?歯ぁ、痛むしなぁ、すり減るし、体ゆがむ し、恐いヤンなあ」
友人「あの歯ぎしりのストレスものすごいよね。あれがこっちに向かってきたらと思ったら、恐かったよ。」
群青「ほんま、ほんま。そないに筋だって物事考えられるあんたはえらい」
友人「???」
友人「群青姉って、すごいなあ。ぜんぜん動じんと、話すんねんもん。」
群青「何言ぅてんねん。怖ろしぃて心臓バクバクやってんて、、、。へたに逃げたら何されるかわからんやんかあぁぁぁぁ。 (^。^;) (-_-;) 、、、あうあう、。」

私の膝は少し笑っていた。腰もへろへろだった。
どこかで、、、どこかで、、、、休みたい、、、、。おいしいお茶が飲みたいぃぃぃ。。。

群青「でもいい経験になったなあ。こんど変な人の役やるときは、歯ぎしりしたらええでー。いや、でも、男やったらまだしも、女性 の変な役っちゅうのはあんまりないしなあ、活用できることはまずないやろけど、、、わっはっはっは(ひきつって、笑)」
友人「ほんまやなあ。アっハっハハハ。(笑)」

テンションが高すぎて収集はつかない。
何事もなく、無事だったせいか。
脳天気の極みだった。

それからは、2人してどんだけおっそろしげだったかをぴーちくぱーちくしゃべくりあった。
エンドレステープのようである。
何回同じことをしゃべっても、おさまらない。

とにもかくにも、あないなとこへはようもどらん。
とにもかくにも、明るい所を目指し、駅に向かって歩く2人。

ぞれでも懲りない私達は駅の周辺を散策し、稽古場所を確保しようとした。
気を付けて見ると、この辺りは変なおっさんがごろごろしていた。
某広場には、おっさんがいっぱい。生気を吸い取るような気で溢れていた。
で、やっと納得した。
この変は治安がようない。ぶっそうなんや。
何かあったら大変だ。
稽古は、やはりお金を払ってでも場所を借りてやろう、と思った。
身の安全のほうが、大事である。

といいつつもスーパーマーケットの前の広場のベンチをのっとり、今度の公演に向けて語り合った群青たちであった。
(横のベンチでは、女子こぉこぉせいが、ベンチをまたいで彼氏と向き合って座り、制服のままでかなりハードにいちゃいちゃしてい て、いや、、いちゃいちゃ、いちゃいちゃ、いちゃいちゃで、目のやり場に困った困った、、、)

ああああ。いかんいかん。身の安全が一番大事である。
今後、気を付けよう、気を付けよう。
(^。^;) (-_-;)

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ばあこと群青亜鉛
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制作:(C)群青亜鉛
2002(改訂)